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    2014年改正再生可能エネルギー法
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ドレスデン西方の風力発電設備。2005年9月7日。

ドイツにケル再生可能エネルギーの普及を柱となって支えてきた再生可能エネルギー法については、2014627日に連邦議会で可決され、711日に連符参議院を通過した。改正方は2014年8月1日に発効。

改正の主な目的は、コスト上昇の抑制、再生可能エネルギーの計画的拡充、再生可能エネルギーの電力市場への統合にある。


1.2014年改正再生可能エネルギー法の主な内容
(再生可能エネルギー推進の基本的考え方などについては、「再生可能エネルギー法」参照)

コスト上昇の抑制
過剰になっていた補助やボーナス制度を廃止し、補助そのものも段階的に削減する。現在、キロワットアワー当たりで平均17セントの固定買取価格を2015年から12セントに引き下げる。引き下げはコスト的に有利な設備に一層重点を置くことなどによって達成する。

コスト負担を幅広く配分
再生可能エネルギー拡大のコストは産業、個人世帯ができるだけ幅広く負担し、付加金の免除は実際に不可欠な場合に限る。

自家発電
従来型の設備で自家発電を行う企業にも再生可能エネルギー拡大のための付加金を負担させる。ただし、2014年8月1日以前に稼働を開始している設備は対象としない。再生可能エネルギーまたはヒートポンプを利用した新たな自家発電設備についてはEEG付加金の負担割合を2015年は30%、2016年は35%とする。その後は、新規設備を含めて40%とする。

電力集約型産業に対する特別調整措置
電力集約型産業に対してEEG割増を一部ないしすべて除外するいわゆる「特別調整措置」をEU規則に沿うよう変更する。特別調整措置の対象は国際競争にさらされ、したがって、例外措置が不可欠な企業に限定する。企業の国際競争力ひいては雇用の維持が目的。
特別調整措置の対象となる企業は、原則として最初の1ギガワットアワーに対してEEG付加金の15%を支払うが、この額は当該企業の総付加価値額の4%を限度とする、または、電力コスト密度が少なくとも20%の企業に対しては最大0.5%を限度とする(環境・エネルギー補助金指令にいういわゆる“Cap”ないしは”Supe-Cap”。

再生可能エネルギー拡大の継続と目標に沿ったコントロール
再生可能エネルギーの拡大を計画的に進め、電力に占める再生可能エネルギーの割合は2025年までに40~45%、2035年には55~60%とする。

さらに、再生可能エネルギーの種別に年間の増強目標(いわゆる目標帯)を設定する。
 ・太陽エネルギー: 年間増強量2.5GW(総発電量)
 ・陸上風力: 年間増強量2.5GW
 ・バイオマス: 年間増強量約100MW(総量)
 ・洋上風力: 2020年までに6.5GW、2030年までに15GWを設置。

具体的な発電量の管理は太陽光、陸上風力およびバイオマスについていわゆる浮動シーリング方式で行う。具体的には、目標帯で予定されている量を上回る設備が新規に設置された場合は、それ以降に設置される設備については補助割合を自動的に引き下げる。洋上風力についてはシーリングを固定する。

(注)送電網の拡充に合わせて再生可能エネルギー電力の拡大テンポを制御する必要も生じている。

再生可能エネルギーの一般電力市場への統合を推進
EEG改革の核心は再生可能エネルギーを国内およびヨーロッパの電力市場に一層統合させていくことにある。そのため、大型の新規設備の運営事業者に対しては発電した電力を買取制度によらず、市場で直接販売することを義務づける。この義務は、すべての関係者が対応できるよう、段階的に導入する。具体的には、
 ・2014年8月から出力500KW以上のすべての設備
 ・2015年1月1日から出力100KW以上のすべての新規設備
を対象とする。

(以上、情報源は連邦経済省サイト)


2.2014年再生可能エネルギー法改正の背景

ドイツは2000年に「再生可能エネルギー法(EEG)」を制定し、再生可能エネルギーによる発電を促進してきた。その方法は、(1)再生可能エネルギーによって発電した電力を20年間にわたって固定価格で買い取る義務を送電会社に対して課す、(2)固定価格としては、取引所における取引価格を大幅に上回る価格を設定、(3)送電会社は再生可能エネルギーによる電力の買取価格と取引所価格との差額を再生可能エネルギー付加金として電力料金に上乗せし、これを一般家庭、企業など電力消費者が負担する、(4)電力多消費型企業には再生可能エネルギー付加金を免除する、などであった。ドイツはこれによって再生可能エネルギーの拡大に成果を挙げ、2013年には再生可能エネルギーが発電の25%を占めるに至った。

しかしながら、高価格で買い取った再生可能エネルギー電力の割合が増すに伴って、付加金が増大し、電力料金が急速に上昇し、国民生活を圧迫するようになった。この間、とくに太陽光発電については設備コストの大幅な低下もあり、政府は新規の再生可能エネルギー発電設備による電力の買取価格を引き下げる一方、電力市場での直接販売を促進するなどの方法で電力価格の抑制を図ってきた。しかし、当初に設定された高い固定価格は
20年間にわたって保証されている中で、新たに導入した措置の効果は限定的でしかなかった。一方で、2011年には福島事故を契機に原子力発電所の半数近くが停止され、再生可能エネルギーの拡大はむしろ重要性を増した。

また、送電網の整備が分散型の再生可能エネtルギー発電の増加に追いつかず、高価格で買い取った電力が余剰電力として周辺国に流出する事態も生じるようになった。

このため、再生可能エネルギーによる発電を増加を適切にコントロールするとともに、電力価格の安定のために抜本的な方策を講じることが不可欠となり、政府は2013年春頃から再生可能エネルギー法(EEG)の大幅改正に着手していた。
今後、新たな枠組みによってどのように電力価格を安定させつつ、再生可能エネルギーの拡大を達成していくか、注目される。

 -- ドレスデン情報ファイル 2014..07.05 - 2014.07.12、2014.08.03