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    再生可能エネルギー法
ドレスデン西方の風力発電設備。2005年9月7日。
再生可能エネルギー法(EEG)に就いては2014年7月11日に改正法案が連邦参議院を通過し、8月1日に発効した。
2014年「改正再生可能エネルギー法」の概要はこちら


 1.再生可能エネルギー法の概要
 2.再生可能エネルギー法の主な内容

 エネルギーデータ集
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  1.再生可能エネルギー法(Erneuerbare-Energien-Gesetz=EEG)の概要
再生可能エネルギー法とは
環境保護や資源保全を目的にドイツにける電力供給の大部分を再生可能エネルギーによる電力に転換するあたって柱となる法律。

太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電力を送電会社が固定価格で優先的に買い取り、それによって生じた費用を一般の電力料金に上乗せして電力消費者に請求する仕組みを定めている。2012年からは買取制度によらないで、電力の自由市場で販売することを奨励し、再生可能エネルギーを一般の電力市場に統合していく方策も採り入れている。

正式名称は「再生可能エネルギー優先に関する法律(Gesetz fuer den Vorrang der Erneuerbaren Energien)」.で、最新版は2011年12月22日付け。
1990年の「再生可能エネルギーによる電力の公共電力網へのフィードインに関する法律」にはじまり、2000年に「再生可能エネルギー法」として現在の制度に近い形が整えられた後、数次の改正を経ている。また、同法の実施の詳細についてこれまでに数多くの政令、細則などが制定されている。

ドイツはすでに再生可能エネルギーによる電力が全体の20%(2011年)を占める実績を挙げており、再生可能エネルギーの推進に効果的なモデルとして欧州を中心に世界60カ国あまりが同様な仕組みを採用しているといわれる。
法律の目的
とくに気候・環境保護のためにエネルギー供給の持続的発展を可能にし、国民経済的にみたコストを長期的な外部への影響含めることを通じても削減し*注)、化石エネルギー資源を保全し、そして、再生可能エネルギーからの電力発生のための技術のさらなる発展を促すこと。(第1条第1項)


法律で定めた目標
上記の目的を達成するため、電力供給に占める再生可能エネルギーの割合をそれぞれ遅くとも (1) 2020年までに35%以上、(2) 2030年までに50%以上、(3) 2040年までに65%以上、(4) 2050年までに80%以上に引き上げること。(第1条第2項)
さらに、エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに少なくとも18%に引き上げること。(第1条第3項)

法律で定める事項
(1)再生可能エネルギーによる発電設備の一般電力網への優先的接続、(2)電力網運営事業者による当該電力の優先的に引き取り、送電、配電、対価支払い(コージェネによる電力との関係およびこの電力を電力供給システムに統合することに対する報奨金を含む。)、(3)対価または報奨金を支払って引き取られた電力の全国的平準化。(第2条)

法律で対象とする「再生可能エネルギー」
水力(波浪、潮汐、塩分濃縮(Salzgradiente)、潮流を含む)、風力、太陽光、地熱、バイオガス、バイオメタン、廃棄物集積場ガス(Deponiegas)、排水汚泥ガス(Kaergas)を含むバイオマス・エネルギー、および生物分解可能な家庭・産業ゴミからのエネルギー。ほかに、坑内ガス(石炭鉱山で発生するメタンガスなど)も対象となる。
*注)再生可能エネルギーによる電力のコストは一般の電力を上回る。しかし、大気汚染による病気、温暖化による食料生産への影響などを金額に換算して比較すると、経済全体に対して長期的に見てプラスの効果があることなどを指している。
  2. 再生可能エネルギー法(Erneuerbare-Energien-Gesetz=EEG)の主な内容
(1) フィードイン対価(固定買取価格、Einspeiseverguetung )による買取義務
再生可能エネルギー法(EEG)では送電網運営事業者に対して再生可能エネルギーによる発電を行う者が電力網にフィードイン(供給)する電力を同法で定められたフィードイン対価(固定買取価格)を支払って優先的に買い取ることを義務づけている。
この場合、送電事業者とはその発電設備に最も近い事業者をいい、電力供給者との間で契約を結ばず、いわば無条件で買い取り、優先的に支払いを行わなければならない。
フィードイン対価は専ら再生可能エネルギーから獲得される電力について、それら再生可能エネルギーの種類や発電方式、立地条件などの別に細かく定められている。
フィードイン対価は再生可能エネルギーによる発電に対する投資の収益性を高くし、設備拡充のインセンティブとなるよう一般の電力料金を上回る高い水準に設定されている。
一般の電力との差額は実質的な補助金であり、この分は「再生可能エネルギー割増(EEG-Umlage)」として電力会社からの電力料金に含められ、最終的には電力の消費者が負担することになる。再生可能エネルギーによる電力の普及が進み、その割合が高まるに伴って電力料金が上昇する要因になる。一方で、技術進歩に伴って発電設備のコストが低下することが期待され、一般の電力との統合を目ざす意味でも毎年フィードイン対価の見直し(引き下げ)が行われる。新たに設定されたフィードイン対価はその年にフィードインを開始した設備に適用され、その年およびその後の15~20年間同一の金額が保証される。
(2) 再生可能エネルギー割増 (EEG-Umlage =EEG割増)制度による需要家への転嫁
 i) 再生可能エネルギー割増の計算方法
再生可能エネルギー法に基づく買取コストの転嫁の手続きについては2010年から「EEG(再生可能エネルギー法)」とくに「相殺メカニズムに関する政令(AusglMechV)」で詳細に定められている。
従来は、広域送電網運営事業会社4社が域送電事業者などを通じて買い取った電力をすべての電力供給事業者(電力会社)に供給量に応じて割り当てていたが、2010年からは買い取った電力を電力取引所で直接販売する方式になった。広域送電網運営事業者は再生可能エネルギー発電事業者に支払った代金と電力取引所での販売諸経費の合計額と電力取引所での販売収入との差額を電力事業者に按分して「再生可能エネルギー割増(EEG割増)」の形で転嫁する。電力事業者はこれをEEGの対象となるすべての最終需要家に対する請求に上乗せして回収することになる。送電事業者は前年の10月1日から当該年の9月30日までの実績に基づいて、EEGによって次の年に生じるコストの予想額を10月15日までに提示するとともに、そこから算出される全国一律のEEG割増額を公表することになる。この割増額は次の年1年間を通じて適用される。実際の市場が予測と異なった展開をしたことから生じるEEG割増の徴収不足ないしは徴収過剰は次の年に調整する。
  ii)  再生可能エネルギー割増の調整例 (2010年)
広域送電網運営事業会社は2009年10月15日に、2010年について総支出額を127億ユーロ、予想される収入を45億ユーロとした。差額は約82億ユーロで、これを2010年のEEG割増でカバーすることとなり、その額は1kWhあたり2.05セントと算定された。
2010年に関するこの想定は結果的には当たらなかった。理由は、①太陽光発電能力の増加およびバイオマスの買取が予想を上回り、UeNBのコストが増加したこと、②取引所での電力相場が低く、EEG電力の販売収入が予想を下回ったこと。このため、UeBNが設定しているEEGアカウントには2010年10月末現在で10億ユーロあまりの不足が生じ、これは2011年のEEG割増で調整されることになった。2011年7月末に提示されたEEG年間決算では中間に行われた計算が正かったことを示すものであった。これによれば、厳密に計算した2010年のEEG差額コストは約94億ユーロであった。したがって、2010年のEEG割増は1kWhあたり2.3セントと計算された。
(出所:BMU „Ernerbare Energien in Zahlen“)
(3) 太陽光発電の自家消費に対するボーナス制度
「再生可能エネルギー法」で買取が義務づけられる以前は、太陽光など再生可能エネルギーによる電力は通常自家消費されていたが、高い価格での買取が義務づけられて以降は発電した電力をすべて公共送電網に供給(フィードイン)し、自家用には一般の電力を購入
した方が得であった。
2012年からは再生可能エネルギー法(EEG)において太陽光による電力の自家消費について新たな規定が設けられた。すなわち、発電した太陽高電力をすべて送電網にフィードインせず、自家消費すれば電力料金を節約できるだけでなく、国からのボーナスを受け取ることができるようになった。新たな規定では、自家消費の割合が30%以内であれば1kWhあたり12.36セントの自家消費ボーナスが支給される。自家消費が30%を超える場合は、30%を超える分について自家消費ボーナスは16.74セントとなる。したがって、外部からの購入が減る分と合わせると、フィードインするよりも自家消費した方が1kWhあたり最大で8セントほど得になる。
これは投資としての収益性も高めることになり、太陽光発電の自家消費の割合を30%とすると、屋根取り付け型の3kwの設備で期間20年の場合、収益率はすべてフィードインする場合と比べて1~2ポイント高まり、9%を超えることになるとされる。自家消費を50%以上に高めることができれば収益性はさらに高まる。ただし、日照状態に応じて家庭内での電力消費を大幅に調整したり、蓄電設備を設置したりする必要が生じることにもなるが、これは、将来のスマートグリッド形成に向けた布石とすることをねらった措置だともいえる。
(4) 一般電力市場への統合を目的とする助成制度
固定価格による買取保証制度の下では、再生可能エネルギーは電力市場における需給や価格の動向に関係なく、自然条件のままに供給されることになる。再生可能エネルギーの割合が拡大するに伴って、需要を上回る大量の電力が供給され、一般の電力の供給を一時的に大幅に抑制する必要が生じたり、送電網に過度な負担がかかったりする可能性もある。
このため再生可能エネルギーによる発電と供給を実際の需要に合わせ、一般の電力市場に統合するための方策が始まっている。2012年からは新たに次のような制度が導入された。

 i) 電力取引所における直接販売に対する報奨金制度(市場プレミアム制)
2012年1月1日から実施されている制度。
再生可能エネルギーによる発電を行う事業者は電力を固定価格による買い取り制度によらず、電力取引所において直接販売する方法を選択すると、電力取引所での販売価格と固定価格との間の差額を「市場プレミアム」として受け取ることができる。市場プレミアム制を選ぶか固定価格制を選ぶかは月単位で決めることができる。
毎月の市場プレミアムの額は当該月の電力取引所での平均価格と固定価格を基に算出される。したがって、電力価格が平均よりも高い時、すなわち需要が多い時に販売すれば、その分が固定価格で引き取ってもらうよりも有利になる。
市場プレミアム制を選択する場合は、供給量の過度な変動を避けるために、電力の供給量および供給時間の予測を提出しなければならず、見通しを誤ると反則金を課される。そうしたリスクや見通し作成のためのコストを補填するためにマネージメント・プレミアムが支給される。「マネージメント・プレミアム」の額は電力供給の予測が難しい風力と太陽光は1kWあたり1.2セント、バイオマスや水力は0.3セントで、将来段階的に引き下げられる。この分はEEG割増の上昇要因となるが、電力の需給予測がしやすくなることで通常の発電所の稼働コストが低下することで相殺されるといわれる。
このほか、バイオガス発電については需給に合わせて出力を調整することから生じる収益の低下を補填するため、「フレキシビリティ・プレミアム」が支給される。

電力価格の構成と推移 ii) グリーン電力特権
電力供給事業者は再生可能エネルギーによる電力供給が全体の50%を超える場合は、自社で消費する電力のすべてについてEEG割増の支払いを免除されていた。EEG割増が上昇するに伴いそうした企業が受けるメリットが相対的に増加してきた。このため、2012年からはこうした企業に対するEEG割増の減免の上限は1kWあたり2セントとされた。また、この減免を受けるためには供給する電力の20%以上が太陽光ないしは風力によるものであることが必要となった。
  関係資料 1  表1 ドイツの原子力発電所  原子力合意(Atomkonsens)の概要
  関係資料 2 図1 エネルギー消費量内訳  図2 発電量のエネルギー別内訳
  関係資料 3  ドイツの原子力発電所地図
  関係資料 4 ドイツの電力輸出入
  関係資料 5 ドイツの再生可能エネルギー拡大目標と進捗状況
  関係資料 6 ドイツのおける再生可能エネルギー拡大の経済効果
  関係資料 7 エネルギー消費の推移
  関係資料 8 (1) 電力価格の構成と推移  (2) EEG(グリーン電力)割増の推移
  関連資料 9 エネルギー政策の推移  (PDF 138KB)
  関係資料10 エネルギー源別に見た発電能力と実際の発電量の推移
  用語解説
   -- ドレスデン情報ファイル 2012.03.21 -
修正:2012.03.30、2014.09.22