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2016年4月27日(水).
電気自動車普及推進で政府首脳と自動車業界が合意。
メルケル首相ほか関係大臣と主要自動車メーカー代表が電気自動車普及促進事業の実施で合意。
(1)電気自動車購入奨励金
・電気自動車の購入に対して4,000ユーロ、プラグインハイブリッド車の購入に3,000ユーロの奨励金を支給。
・価格6万ユーロ以下の私有車ないし社有車が対象。
・予算は12億ユーロで、連邦政府と各自動車メーカー各6億ユーロ負担。
・対象台数は約40万台。予算枠を満たすまで受け付け。
・5月の閣議決定後から奨励金支給申請を受け付け。
・参加企業はVW、ダイムラー、BMWの3社。それ以外でも奨励金の半額を負担すれば参加可能。
・奨励金とは別に、連邦政府は所有車の20%を電気自動車とする(予算1億ユーロ)
(2)充電施設拡充促進
・連邦政府が3億ユーロの予算で助成。増設合計1万5,000カ所、うち、一般設備1万カ所(予算1億ユーロ)、急速充電5,000カ所(2億ユーロ)。
注)ドイツの場合、勤務先企業で充電すれば電気代は非課税となる。
(3)目標
現在の普及状況は、ハイブリッド車3.3万台、電気自動車1.9万台。今回の措置で普及台数50万台を想定。2020年100万台が目標。
以上


2016年6月8日(水)
再生可能エネルギー法(EEG)改正を閣議決定(買取を入札制に)

概要;
ドイツ政府は、グリーン電力の買い取り方式を固定価格制から大きく転換して、入札制とする法案(2016年再生可能エネルギー法=EEG2016)を閣議決定した。連邦議会、連邦参議院を通過した後、2017年から実施される。
新たな法律では、風力、太陽光など発電方式ごとに増設目標枠を定め、それに対して電力を供給する新たな設備を入札で募集し、最も補助が少なくて済む効率的で低価格の応札者が落札することになる。
落札は2年間有効で、落札者はその期間内に設備を稼働させる必要がある。補助の期間は20年間。
対象は風力、太陽光およびバイオマス発電。ただし、いわゆる屋根上の750kW未満の小型太陽光発電は対象外。
発電の条件は極めて多様であるため、入札の条件や仕組みはきめ細かく定められる。市民エネルギー協同組合の場合は、応札に際して排出規則による認可の提示を不要とするなど、入札への参加をしやすくする措置がとられる。
送電網との整合性:
北部ドイツなど、風力発電おの条件がよい一方で電力網が不足する地域では風力発電の増設容量はそれ以前の3年間の平均増設容量の58%に抑制される。
それによって、北部ドイツおよびヘッセン州における風力発電の拡充を確保するるとともに、電力網への過重な負担が回避される。この措置は2年ごとに見直しする。発電と送電の整合性を改善することで電力網負担調整コストと消費者による送電料の負担が抑制される。
これまで設定されていた拡充帯域を大幅に越えて増加している陸上の風力発電については、補助金を2017年6月1日に5%引き下げ、その後も増加テンポが高水準を維持する場合はさらに引き下げる可能性がある。
各方式の再生可能エネルギー発電の増加テンポは、電力網の拡充との整合性を考慮して、次のように設定する。
風力: 2017年から2019年までの陸上風力発電の増加量を年2,800MW、それ以降は2,900MWととする。洋上風力は2020年までの拡充目標を上回って増加するとみられる。したがって、2030年の目標である15GWはそのままにして、2021年以降の増加量を年750MWとする。
太陽光:入札を年600MWまでとする。750KW未満の屋根上の小型設備は除外し、従来どおりの補助を行う。年間の増加量は全体で2,500MWとする。これに対して、総量の制限は設けず、設備能力が従来の上限である5万2,000MWを越えても補助を行う。
バイオマス:2017年以降の入札は年150MWとする。2020年から2022年までは年200MWに引き上げる。入札には新規設備のほか既存の設備も参加できる。


2017年4月13日(木)
北海上風力発電パークの入札で「補助金不要」が落札 - エネルギー転換が新段階へ

2017年1月にネット庁が実施した北海における合計1,500メガワットの風力発電パーク建設プロジェクトの入札でデンマークの国有企業Dongとバーデン・ビュルテンベルク電力(EnBW)の落札が決定。落札者が求める補助金額は平均でキロワットアワーあたり0.44セントと予想外の定額となった。とくに、EnBWが落札したのは900メガワット分で、補助金を求めない内容。つまり、新設する風力パークで発電した電力は従来のように送電会社が補助金(固定価格)で買い取る必要がなく、独自に電力取引所で一般の電力と競争していくというもの。ただし、陸上までの送電コストは消費者負担となる。
ドイツは電力市場での競争が激しく、取引所で販売すれば価格は1キロワットアワーあたり4~5セント(5~6円)にしかならないが、風力発電でもそれで採算がとれることになり、入札結果はドイツの電力業界でも予想されていなかった。(日本では原子力発電のコストが10円~11円と言われる。)
風力パークが実際に稼働を開始するのは2025年ころとなり、電力料金に反映されるのはそれ以降となるが、一般の電力と互角に勝負できる再生可能エネルギー電力が提示されたことはドイツのエネルギー転換にとって画期的な出来事となっている。

2017年11月29日(金)
連邦ネット庁が陸上風力応札に最高価格を設定

陸上風力発電の入札で市民エネルギー団体による極めて低価格の応札が続いている中、ネット庁は2018年の入札に対する応札の最高価格を6.30セント/kWhに設定しすると発表した。
陸上風力の発電コストが5.6セント/kWhと見られる現状で、これまでの落札の最高価格である5.0セント/kWhを目安とすると、入札枠に対して応札が不足するようになる恐れがあるためとしている。
陸上風力発電の入札では極めて旺盛な応札があるようだが、それだけに競争も激しく、ネット庁が行った2017年の陸上風力第3回入札(2017年11月)では、平均落札価格は3.8セント/kWhという低水準であった。


2019年10月23日(火)
交通・暖房分野にCO2排出権制度の導入を閣議決定
ドイツは2030年までにCO2排出量を199年比で確実に55%以上削減することを目的とする2030年気候保護プログラムを決定しており、その一環ととして交通および暖房分野にCO2排出権制度(炭素税)の導入に関する法案を閣議決定した。
概要は以下のとおり。
 開始:2021年
 対象:暖房油、天然ガス、ガソリンおよびディーゼル燃料
 目的:気候に有害な暖房や走行の費用を引上げ、ヒートポンプや電気自動車など気候にやさしい方式      へのインセンティブとする。
 価格:最初の5年間は固定価格制。
      初年はCO2トン当たり10ユーロ
      2025年までに35ユーロに引き上げ。
     2026年以降は入札制とし、気候目標に沿うよう発行量を制限し、最低35ユーロ、最高60ユーロと      する。
 *国民および企業に大きな負担がかからず、先を見越しながら計画的に対応できるよ
   う、少しずつ引き上げ。
 *すでに欧州排出権取引の対象となっている産業設備は除外する。
 *連邦政府は排出権の売却による収入を気候にやさしい交通システムおよびエネルギー効率の高い建    物の促進など、気候保護措置に投入する。
   また、一部を国民の生活費の上昇に対する補てんに充てる。


以上

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