ドイツのエネルギー政策,新時代へ |
エネルギー政策の目標 |
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ドイツ連邦政府は2010年9月28日、電力供給体制を大きく転換し、2050年までに再生可能エネルギーを主体とする体制に移行するための戦略を描いたエネルギーコンセプトを決定した。 |
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エネルギーコンセプトではその実現に至るまでの橋渡しとして、順次停止が予定されていた原子力発電所の稼働期間を平均で12年間延長することとしていた。
しかし、福島原発事故3日後の2011年3月14日、ドイツ政府は直ちに原発稼働期間の延長を撤回し、同年6月中に、原子力発電所を2022年までにすべて廃止し、エネルギー転換を加速するための一連の法案を決定しした。このいわゆるエネルギー・パッケージの大部分は前年に決定していたエネルギーコンセプトを早急に実行に移すことを目的としたものである。
したがって、ドイツのエネルギー政策は原発の存続を前提にまとめられた基本方針を、原発を大幅に削減したうえで実現しようとするもので、その分、エネルギー転換の実現が急がれている。 |
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エネルギー政策の原則と目標 |
原則:
環境にやさしく、支払可能な価格で、確実なエネルギー供給
(輸入に依存しない、自前の電力供給)
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2050年までの主な目標 |
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- 温室効果ガスガスの排出量を2008年比で少なくとも80%削減する。
- 電力の少なくとも80%を再生可能エネルギーによってまかなう。
- エネルギー消費を大幅に削減し、エネルギー効率を引き上げる。
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ねらい:
1.持続可能な発展
2.将来的に予想される化石燃料の価格上昇や不足に対応できる体制
3.イノベーションと技術進歩を促し、雇用を拡大し、国際競争力を強化
4.高いエネルギー効率のもとで世界で最も生活水準が高い国のひとつとなる。
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主眼は電力供給構造の大幅転換と省エネルギー |
原子力発電を2022までに段階的に廃止し、エネルギー効率を向上させながら2050までには
電力の80%以上を再生可能エネルギーによる電力でまかなう。
そのためには分散型発電や北部の大規模風力
発電に対応する送電網の拡充、エネルギー効率向上のための技術開発など課題は多い。 |
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エネルギー政策の主な目標 |
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温室効果ガス削減 |
エネギー消費削減 |
再生可能エネルギー拡大 |
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2. 項目別目標 |
エネルギー転換の現状と目標は下表のとおりで、目標値は2010年の連邦政府エネルギーコンセプトをベースとしており、その後、連邦議会の議決およびEUの指令に基づいて若干の修正が行われている。 |
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2015年 |
2020年 |
2030年 |
2040年 |
2050年 |
温室効果ガス |
温室効果ガス排出量 (1990年比) |
-27.2%% |
-40%
以上 |
-55%
以上 |
-70%
以上 |
-80%~-95% |
再生可能エネルギー |
エネルギー総最終消費に占める割合 |
14.9% |
18% |
30% |
45% |
60%. |
電力総消費に占める割合 |
31.6% |
35%
以上 |
50%
以上 |
65%
以上 |
80%
以上 |
熱消費に占める割合 |
13.2% |
14% |
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交通部門に占める割合 |
5.2% |
10%** |
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エネルギー効率..... |
一次エネルギー消費 (2008年比) |
-7.6% |
-20% |
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-50% |
エネルギー生産性 (2008年比) |
年平均
1.3% |
年平均 2.1% |
電力総消費量 (2008年比) |
-4% |
-10% |
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-25% |
住宅のエネルギー効率. |
一次エネルギー必要量 (2005年比) |
-15.9% |
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-80% |
熱必要量 (2008年比) |
-11.1% |
-20% |
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交通部門. |
最終エネルギー消費 (2008年比) |
1.3% |
-10% |
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-40% |
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注)*暫定値、**EU指令
出所;連邦経済省「第5回エネルギー転換モニタリング報告書"Energie der Zukunft"」(2016年12月) |
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