ドイツのエネルギー関係データ |
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2000年の原子力合意 |
社会民主党/緑の党連立政権は2000年6月、電力会社との間の難しい交渉の末、国内の原子力発電所を稼働開始後30年あまりを期限として閉鎖する協定を結んだ。
電力会社は緑の党が加わる政権の成立で原発の早急な閉鎖を迫られることを恐れていたが、一定の猶予期間が得られたことでむしろ安堵したといわれる。
メルケル政権は原発の稼働期間を平均で12年間延長することを決めていたが、福島原発の事故後、ほぼこの協定に近い方向に戻る結果となった。
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連邦政府とエネルギー供給企業の間の 2000年6月14日付合意 (抜粋・仮訳) |
I. まえがき (略) II.
既存の設備の稼働の制限
1.個々の設備に対して、それぞれ2000年1月1日から算定して閉鎖されるまでの期間に発電できる上限(残存発電量=Restmenge)が定められる。各原子力発電所を稼働する権利はそれぞれに対して予定されている発電量、ないしは移転(つけかえ)によって変更された発電量に達した時点で終了する。
2.残存発電量(ネット)の算定方法は次のとおりとする。 ・各設備について、商業運転開始から32暦年の標準稼働期間を基に、2000年1月1日以降に残ってい る残存稼働期間(Restlaufzeit)が算定される。 Obrigheimについては2002年12月31日までの移行期間を設定する。 ・さらに、各発電所について、1990年から1999年までの間で年間発電量が最も多かった5年間の平均発 電量から算定される年間基準発電量(Referenzmenge)を基準に置く。 ・この基準発電量に対して、残存稼働期間については技術改善の進展、各設備の性能向上および電 力供給安定のための余力維持義務の変更など自由化を考慮して、年間発電量に5.5%を乗じたもの を基準とする。 ・残存発電量は5.5%を割増した基準発電量に残存稼働期間を乗じて算出される。 個々の設備について上記の方法で算出した残存発電量は付録1に記載した。これらの残存発電量は 改正原子力法の付則に義務として記載される。
3.エネルギー供給企業は毎月連邦放射線防護庁に発電量を報告するものとする。
4,エネルギー供給企業は発電量(発電権)を関係事業者から連邦放射線防護庁への報告によって、ひと つの原子力発電所から他の原子力発電所に移転することができる。
交渉当事者間には発電量を経済性の低い設備から経済的な設備へ移転するためのこの柔軟性が活 用されるとの合意が存在する。したがって、発電量は原則としてより古い設備から、より新しい設備に、ま た、より小型のものからより大型のものに移転される。発電量がより新しい設備からより古い設備に移転( つけかえ)される場合は、モニタリング・グループ(VII参照)の枠内で当該エネルギー供給事業者の参加を 得て協議当 事者間の了解が必要とする。同時により新しい方の設備を廃止する場合はその限りでは ない。
5.RWEはMülheim-Kärlich原子力発電所にかかわる認可申請を取り下げる。同社は同様にラインラント・プァルツ州に対する賠償請求訴訟を取り下げる。この合意によって認可手続きおよび当該設備の停止期間に関連するすべての法的および事実上の請求権は消滅するものとする。
RWEはこの合意に基づいて、II/4項にしたがって10万7,250Whを他の原子力発電所に移転することができる。
この発電量についてはEmsland原子力発電所またはその他のより新しい設備、さらには、Gundremmingen原子力発電所ブロックBおよびC、および、最大20%をBiblis
B原子力発電所に移転することができる。
(以下 略) III. 残存期間中の設備の稼働 IV.
廃棄物処理 V. 原子力法の改正 VI.
雇用の確保 VII.モニタリング VIII.付録(各原発の残余発電量)
出典:ドイツ連邦環境省 "Vereinbarung
zwischen der Bundesregierung und der Energierversorgungsunternhmen vom 14. Juni
2000" |
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